ハンディのちから

健康生活ー歩行補助具

杖を使って十数年

「杖を使うのは年寄りくさくて嫌」という方や「杖を使う気持ちがすこしずつ減退している」という方のご意見をしばしば耳にします。「杖を使って十数年」では、管理人が杖を使い始めた1998年1月頃からの管理人の杖に対する、十数年の思いを伝えることから、杖の意義を見直しています。

管理人の杖の原点

管理人は54歳のときに歩行困難になり、転倒や歩行速度の低下に悩まされるようになりました。それまでは、杖などの歩行補助具には無縁の生活でした。1997年12月に「胸椎黄色靭帯骨化症」はと診断され、主治医から、このままでは歩くことができなくなる言われ、手術をすすめられました。
9時間に及ぶ椎弓切除手術を行い約2か月間の入院生活になりましたが、歩行困難と疼痛(痛み)は改善されませんでした。入院生活中に杖に初めて出会う(杖に使わらざるを得なくなった)ことになります。右手に持つ杖を隠すようにしての退院でした。これが杖を使って十数年の始まりでした。このときの気持ちは今でも覚えています。情けないやら、これから一家をどうやって支えて行ったら良いのなら、入院するときの気持ちのようでした。
つぎはどっきり言葉と安心言葉です。まずはどっきりから、当時55歳でした私を見て、"エッ"まだお若いのに?(可哀想に!)と,どこでも聞かれる会話を複雑な気持ちで聞き続けました。平日にもかかわらずたくさんの人がいる場所でも杖を見た瞬間(かどうかはわかりませんが)、避ける、止まる、譲る、開けていただくなど、とってもやさしい対応に遭遇したこともありました。
この時の杖に対する気持ちは、「病気療養中だから、恥ずかしいが体を労って、早く病気から抜け出すために、一時的に使っている」と、自分に思い込ませている感じでした。このときが杖を使って十数年のうち一番つらい時期でした。

職場復帰の片手杖

しかし、時が過ぎても「杖無しで歩くことができる」ことはありませんでした。一方、このまま仕事を辞める道は選べず、片手に杖をついての職場復帰となりました。
外に出てお客様にお会いして設計や工事を進めることが仕事でしたが、杖をついている姿でお客様にお会いすることに対して、自分でも引け目が、また周囲の一部には「杖をついている人」をお客様相手の職種に置かなくてもと言う噂がありました。
そこで、考えたすえの結論が使わない時に畳んでカバンなどに収納しておける「折り畳み杖」です。つまり、お客様のオフィスに入る前と退出後は遠慮なく杖を使い、オフィス内では杖は折り畳んで鞄に入れておきます。とは言っても、オフィス内を歩くとき、明らかに健常者より歩行速度が遅い訳ですから、障害があることは「バレバレ」でしたが。
また、この時期には、片手に杖を持って歩行してもしばしば転倒していました。
この時期から杖に対する気持ちが変わり始めてきました。「恥ずかしい」や「"エッ"まだお若いのに?(可哀想に!)」と思われてもよい、それよりも、「杖の力を借りても、楽々と少しでも多く歩き・多くの人に出会い」そんな気持ちにです。このときが杖を使って十数年のうち前向きになり始めた時期でした。

両手に杖を持つことで転倒防止

片手に杖を持つ歩行でしばしば転倒している原因は、痙性対麻痺であることがわかりました。
片麻痺の2動作歩行では、杖と不自由な足を同時に出すときは健常な足1点で支え、健常な足を出すときは杖と不自由な足の2点で支えます。ところが、痙性対麻痺の2動作歩行では、杖と不自由な足を同時に出すときは健常な足1点が不自由な足1点となって安定性を欠いてしまいます。
しかし、両手に杖を持つことによって、不自由な足1点に杖が加わり安定性を増してくれます。
このときが杖を使って十数年のうち、杖をともに一生を生きようと思った時期でした。

杖を使う目的

杖を使う目的には次のようなことがあげられます。
  • 歩行が困難な状態を補う
  • 歩行時のバランスを補う(安定性を高める)
  • 歩くときの疲れを減らす
  • 静止立ち姿勢のときの支え
  • 歩行中の歩行速度を保つ。
  • 歩行時の痛みを和らげる。ただし、これは人により異なります。管理人の場合はほとんど効果がありませんでした。

杖を使うとき

杖はつぎのような場合に使います。
  • 移動する手段に使う
  • 歩行練習を行う場合に使う
  • 足腰に対する負担が軽くする場合に使う(歩ける距離が伸びるということです。)
  • 転倒を防ぐ場合に使う

初めて杖を持つ時の抵抗感

管理人が初めて杖を持ったときは、杖がないと歩行できない状況であり、その後も歩行能力の改善が見られませんでしたので、恥ずかしいや情けない感じはありましたが、比較的スムーズに杖の生活に移行できた方だったと思っています。
しかし、この年齢で杖を持っていると思われたくないなどの気持ちが強く、杖を持つと楽にもっと歩くことができることがわかっていても、なかなか決心がつかない方も多いと思います。多くの障害者や高齢者などのハンディが、何にも頼らず自分の足で歩いてきた生活が、何かに頼らなければならない生活になる、ということに対し、自分自身の衰えと感じるのでしょうか。まだ頑張れる、杖などの歩行補助具に頼らないで生活できる、という強い気持ちが、杖を使うことを受け入れにくくしているのでしょう。また、杖を使うのは年寄りくさくて嫌、というかたは、年齢を重ねることに否定的な人生観の持ち主なのかもしれません。
しかし、管理人はこのように考えて、杖を必要とされている方に、杖をご紹介しています。杖を使って十数年後に、感謝されることを確信して!
  • 杖を使うことによって、体は衰えるのではなく、運動ができることによって健康になる。
  • 杖を使うことによって、体への負担が減り、外出が楽しくなり社会との繋がりも増える。
  • 今や杖は進化し、杖とはわからない杖・普段はバッグにしまい、必要な時に取り出して使えるオシャレな杖・市中の散歩のお供にも最適なハイキング用杖・デジタルカメラの一脚にもなるカメラ好きには楽しい杖もあります。
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