健康生活ーバリアフリー住宅

ユニットバスの後付け手すり

浴室手摺は目的、取り付け場所、取り付け方法、浴室材質により次のように様々です。30歳代などで住宅を購入するとき、老後の使い易さの仕様まで考えが及ぶ人は少ないと思います。管理人もその一人で、住宅メーカーのユニットバスにオプションで「手すり」があったのに設備しませんでした。今設備するには、当然ながら「後付け手すり」になります。しかし、ここで大きな問題に遭遇しました。20〜30年経過すると、ユニットバスの仕様も変わっています。特に後付け手すりに影響を及ぼすのが「壁」の材質です。
一般的なユニットバスの後付け手すりも「タッピンねじ」タイプが多いです。「タッピンねじ」とは、雌ネジがなくとも、自分で部材にねじ立てしながらねじ込むことができるネジです。下穴さえ開けておけばよいので、作業工程を減らすことができ、作業性がよいという特長があります。TOTOのインテリアバー(UB後付けタイプ)もその分類に属します。そして、この種のUB後付けタイプが取り付け可能な壁は「厚みが0.4mm以上の鋼板の壁」(化粧鋼板+断熱材+メッキ鋼板や化粧鋼板+石膏ボード)、取付ができない壁はその他表面が鋼板でないタイル・プラスチック板・ホーロー・FRP板・天然大理石・ケイカル板などと表記されています。
一方で、最近のユニットバスの壁は「厚みが0.4mm以上の鋼板の壁」(化粧鋼板+断熱材+メッキ鋼板や化粧鋼板+石膏ボード)仕様が多いです。30年前に新築した管理人のユニットバスの壁は5mm厚みのケイ酸カルシュウム板と9mm厚みの石膏ボードです。新築時にタオル掛け・シャワーフック・ミラー・窓・給水給湯栓の取り付け部分には9mm厚みの天然木が裏打ち補強されています。後付け手すりを取り付ける場所は、5mm厚みのケイ酸カルシュウムと9mm厚みの石膏ボードのみで強度不足です。
この状態で、後付け手すりの取り付け部分に9mm厚みの天然木が裏打ちするためには、建物の外壁や内壁を解体・復旧する必要があり、大工事になってしまいます。これらの需要を満たすために、TOTO・Lixil・セキスイホームテクノなどのユニットバスメーカー、日本総合住生活(リノチョイス『浴室手すり+専用アンカーキット』)・マルエム浴室手すりユニットバス取付用TQDIY-2TQアンカー・ナカ工業(TQアンカー・クレセントアンカー(石膏ボード用))などの手すりメーカーが、鋼板以外のユニットバスの壁にも取り付けできるユニットを販売しています。

手すりの取付場所

取付場所は使用者の体力状態によって異なります。自立して歩行できる人には必要ありません。 次のような人には手摺が必要になります。
  • シャワーチェアが必要な人
  • 脱衣室と浴室間に段差がある
  • 浴室内で立ち上がりや自立歩行ができない
  • 浴槽に跨ぎができない
  • 浴槽内で立ち上がりができない
浴室や脱衣所の壁に、手すりを取付けることで、手すりにつかまりながらゆっくりと移動することができるため、転倒事故の防止になります。手すりにつかまることで、自分の体を引き寄せて、体重を移動させることができるので、立ち上がりなどの動作が楽に行え、体勢も安定します。
浴室は足元が滑りやすいため、転倒事故を防ぐため、手摺りの設置が 必要です。また、洗い場では立ち座りの動作のために縦手摺があると楽ですし、歩行には横手摺が身体を保持し、安全性の面でも優れています。また洗い場での、浴槽に出入りする際には浴槽と洗い場の間に縦手摺が非常に役に立ちます。また浴槽内での立ち座り、身体の姿勢保持にはL型手摺が便利です。ユニットバスの手すりの取付位置は次のとおりです。転倒や転落のリスクがあるため、各動作に合わせて設置することで安全な入浴となります。
1.浴室出入口「縦手すり」:浴室の出入口は最もバランスを崩しやすく転倒しやすい場所と言え、段差がある場合、つまずく危険性もあります。入ってすぐの位置に「縦手すり」を800mm~1500mmの位置に設置して、しっかり身体を支えます。また、管理人は脱衣室側にも「縦手すり」を設置しています。
2.洗い場移動と浴槽の出入口「L型手すり」:滑りやすい浴室の中を安全に、安定した状態で移動するために横手すりが重要です。また、浴槽を「またぐ」という動作は、少しの時間ですが片足立ちとなり身体のバランスが崩れやすく、転倒や転落のリスクが最も高くなっております。管理人は縦手すりを使いますので、合わせて、L型手すりを使っています。
3.浴槽内立ち座り「L型手すり」:浴槽を跨いで浴槽に移動した後も、湯につかるため浴槽内で立ち座りしますので、身体をしっかり安定させながら移動する必要があり、その時に活躍するのが浴槽の脇の壁に取り付ける「L型手すり」です。
4.洗い場立ち座り「縦手すり」:管理人は洗い場ではバスチェアを利用しています。この立ち座りの時に足元を踏んばることで滑って転倒する危険があり、洗い場での立ち座りには「縦手すり」が有効です。バスチェアが低いことも転倒の原因の1つですので、自分の体力に会う高さのあるバスチェアを使用すると立ち上がりがラクになります。
5.また、バスチェアの代わりにシャワーキャリーを使うと、洗い場移動と洗い場立ち座り時の手すりも不要になり、リスキーな場面を減らせます。

ユニットバスの壁の構造

ユニットバスの壁材質は次のとおりです。ユニットバスの壁パネルの多くは薄い鋼板製で補強のためにプラスターボードが接着してあり、鋼製のフレームにはめ込むことによって壁が固定されています。ほとんどがつぎの「1.」と「2.」ですが、管理人のユニットバスの壁の構造は「3.」です。
1.化粧鋼板+断熱材+メッキ鋼板
2.化粧鋼板+石膏ボード
3.ケイカル板+石膏ボード
4.タイル(100角/200角/100×200)
5.塩ビ鋼板複合
6.特殊化粧セメント板
4.その他には、7.ホーロー(例:タカラスタンダード製ユニットバス)、8.FRP板、9.天然大理石(後付け手すりの取り付けは困難)などがあります。

取り付け(固定)部の構造

浴室用手摺の取り付け(固定)部の仕様は次のように様々なものがあり、壁の仕様に合うものを選ばなければなりません。

タッピンねじで壁内固定

このタイプの手すりは、取扱メーカーも多く一般的で、1.化粧鋼板+断熱材+メッキ鋼板や2.化粧鋼板+石膏ボードや5.ホーロー(例:タカラスタンダード製ユニットバス)の壁のユニットバスに後付けできます。

エビモンゴプラグで壁内固定

パームハンドNextはバックツイストロックが供回りを防ぎ、石膏ボードをガッチリ固定できるエビモンゴプラグを使用しています。塩ビ鋼板+石膏ボード、ケイカル板+石膏ボード、SMC板・FRP板+ウレタン、フレキシブル板+スチロール壁のユニットバスに使えます。

TQアンカーで壁を挟み込む

上左図はTOTO・上右図はLixil製で、壁に開けた約25mmの穴に部品を通し、UBの壁の外側で部品を開き挟み込み固定します。製品にもよりますがUBの壁の外側に3cm程度の空間が必要です。ユニットバスメーカーの他に、ナカ工業やマルエムなどの手すりメーカ品もあります。壁厚みは3〜31mmまで対応しますが、壁材の強度を増すものではありません。
浴室用手摺の取り付け(固定)部の仕様は次のように様々なものがあり、壁の仕様に合うものを選ばなければなりません。

アンカーで壁を挟み込む(I)

このタイプの手すり(例:アロン化成のセーフティバープラスチックアンカー付)は、壁裏に柱のない薄いユニットバスのタイル(100角・200角・100x200)・塩ビ鋼板複合(塩ビシート+ステンレス鋼板1mmt+石膏ボード9mmt)・化粧鋼板・FRP壁(4~12mm:壁厚みの制限があります)に取り付けることができます。

アンカーで壁を挟み込む(II)

このタイプの手すり(例:アロン化成の台座付住宅用手すり【ユニットバス用】)は、壁裏に柱のない薄いユニットバスのタイル(100角・200角・100x200)・塩ビ鋼板複合(塩ビシート+ステンレス鋼板1mmt+石膏ボード9mmt)・化粧鋼板・特殊化粧セメント板壁(4~12mm:壁厚みの制限があります)に取り付けることができます。

管理人の浴室手すり

介護保険の住宅改修を使って浴室に手すりを取り付ける場合、施工業者については指定業者の中から選定する必要があります。管理人の地域には概ね147指定業者がいます。管理人が浴室の手すりが必要になり相談したのが、その中でも最大手の指定業者でした。そのような最大手の指定業者でも、化粧鋼板+断熱材+メッキ鋼板や化粧鋼板+石膏ボード壁にしか取り付けられない、タッピンねじで壁に固定できる手すりしか扱っていないようです。壁に磁石を当てて辞退されました。
そこで、ユニットバスの壁材質を知ることから始め、ハウスメーカーに相談しましたが、次のように紆余曲折しやっと完成しました。
  • 第1回目:「ケイカル板ですよ」そっけない返事!
  • 第2回目:そのメーカーの壁材図面を見せられ、ケイカル板に天然木の裏打ちがある壁で、建物の壁を剥がして、天然木の裏打ちの上に「補強材」を入れる、大工事になると言われる。
  • 第3回目:疑問感じ、そのユニットバスそのものの図面を取り寄せる。すると第2回目の図面内容と異なり、ケイカル板+石膏ボードを基本とし、付属品取付箇所は「天然木」で補強していることが判明する。そうであれば、エビモンゴプラグを使用し、バックツイストロックが供回りを防ぎ、石膏ボードをガッチリ固定できる「パームハンドNext」を使えば、建物の壁を剥がして、天然木の裏打ちの上に「補強材」を入れることなく、手摺が取り付けられることがわかりました。
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