ぶらり車いすバリアフリー旅行

立ち姿勢を保持できる車椅子使用者が使えるお風呂

「ハンディのちから」の「立ち姿勢を保持できる車椅子使用者が使えるお風呂」では、 健常者であれば、露天風呂や大浴場などのお風呂の形態・天然温泉や人工温泉などの泉質などの情報によってお好みの宿泊施設を選ぶことができます。
しかし、立ち姿勢を保持できる車椅子使用者が使えるお風呂にはその前に大きなハードルがあります。それは利用者の障害の状態に応じて、「浴室内を安全に移動したり、浴槽に入ったり、シャワーを使う」ことができるか否かということです。
「ハンディのちから」 の調査では車椅子利用者の障害の状態にもよりますが、 となっています。 「立ち姿勢を保持できる車椅子使用者が使えるお風呂」では、自力では浴槽の縁を跨げないので、移乗台やバスボードや腰掛けスペースやシャワーチェアや入浴用車椅子などがある宿泊施設をご紹介しています。

バリアフリーの宿の浴室タイプ

バリアフリーの宿の浴室には、バリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室、貸切風呂、大浴場があります。ホテル営業(洋式の構造及び設備を主とする施設でシティホテル・ビジネスホテル・リゾートホテル)と旅館営業(和式の構造及び設備を主とする施設で、温泉旅館・観光旅館・割烹旅館)ではその構成に特色があります。
  • ホテル営業ではバリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室がほとんどで、大浴場は極めて少数派で、貸切風呂はほとんどありません。大浴場は手摺もなく入浴補助具の貸出備品もなくバリアフリーではありません。旅館営業ではバリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室と大浴場の併設が多く、貸切風呂もかなりあります。
  • 浴室レイアウト視点から見ると、ホテル営業ではバリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室は3点ユニットバス(お風呂、洗面、トイレの3つが同じスペースに設置されている)が一番多く、セパレートタイプ(バストイレ別:お風呂とトイレが別々で、洗う場所と浴槽が分かれている)もあります。
    3点ユニットバス

    セパレートタイプ

    旅館営業ではバリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室、貸切風呂、大浴場とも、当該宿泊施設のオリジナル仕様のものが多い。介助の視点から見ると、バリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室、貸切風呂は異性の介助も受けられますが、大浴場では異性の介助は受けられませんので、老々カップルの使用は難しい。
  • 温泉の視点で見ると、ホテル営業では真水を沸かしたものがほとんどである。一方で旅館営業でも、貸切風呂、大浴場はほとんどが温泉ですが、バリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室はほとんどが真水を沸かしたものです。

大まかな入浴動作

車椅子を使われている障害者やシニアなどのハンディにとって、大まかな入浴動作と要求される設備はつぎのとおりです。
  1. 車椅子で洗い場や浴槽脇まで移動する。
    1. ホテル営業や旅館営業とも、バリアフリールーム(ユニバーサルルーム)内の浴室は客室から洗い場や浴槽脇まで移動できます。旅館営業の貸切風呂や大浴場は脱衣室までは車椅子で入れますが、その先で必要なシャワーキャリーや入浴用車椅子を備えている宿泊施設は少ない。特に大浴場内の移動範囲は広いので、Heavy Parttime Wheelchair Userと言えども転倒などのリスクが大きい。
    2. ここで必要な設備条件は、浴室入り口に段差がない。数cmの段差なら介助やバック走行で乗り越えられますが、バック走行の場合は浴室内での回転が必要になります。
    3. 浴室入り口の幅が車いすの全幅+数cmある。「ハンディのちから」がご紹介している車いす150機種の使用時全幅は43cm〜71cm。使用時全幅は50cm以下は7機種・51〜55cmは6機種・56〜60cmは32機種・61〜65cmは87機種・66〜70cmは16機種・70cm以上は2機種となっています。バリアフリールームと表示されている客室でも、浴室入り口の有効幅が70cm未満の場合は、ご使用の車椅子の幅をもう一度確認しましょう。
    4. 開き戸より引き戸がよい
    5. 浴室内で車椅子が回転できる
    6. 浴室内に介助者が入るスペースがある
  2. 洗い場を使う。
    1. シャワーチェアやシャワーキャリーや入浴用車椅子に座る。
    2. しつかり掛け湯をする。
    3. シャワーフックが低い位置にあり、その脇に手摺があると良い。
    4. シャワーキャリーや入浴用車椅子で浴槽脇に移動する。無い時は介助を依頼する。
  3. シャワーキャリーや入浴用車椅子から浴槽に移乗する。
    1. バリアフリー宿泊施設の浴槽の縁の高さは2種類に分かれます。客室付露天風呂と内風呂の浴槽深さは50cm程度、エプロン高さは40~45㎝程度(車椅子の座面の高さ程度)ですが、大浴場や露天風呂の浴槽の縁の高さは5cm前後とあまり高くはありません。
    2. 客室付露天風呂と内風呂の浴槽の縁の高さ概ね40〜45cmを超えて浴槽に入ることができる車椅子利用者は概ねつぎの3つに分類できます。
      1. 手すりにつかまれば自力で浴槽に入ることができる
      2. 立ち姿勢を保持でき、浴槽の脇の腰掛けスペース・移乗台・バスボード・シャワーキャリー・入浴用車椅子などの補助具があれば浴槽に入ることができる
      3. 立ち姿勢を保持できず、リフトなどの自動入浴設備がないと浴槽に入ることができない
    3. 浴槽の中で座る。
      1. 浴槽のなかの入浴補助具にはつぎのようなものがあります。
        1. 浴槽内の手摺
        2. 浴槽の1/3くらいの高さの椅子や段
        3. 滑り止めマット
      2. 最後に浴槽に入ったら、浴槽の底にお尻をつけて座らなければなりませんが、これも車椅子利用者は概ねつぎの3つに分類できます。
        1. 浴槽の縁や浴槽内の手摺につかまれば自力で浴槽に座ることができる
        2. 立ち姿勢を保持でき、浴槽内の手摺や椅子につかまれば自力で浴槽に座ることができる
        3. 立ち姿勢を保持できず、リフトなどの自動入浴設備がないと浴槽に座ることができない
  

バリアフリーの宿にある入浴補助具

バリアフリーの宿にある入浴補助具にはつぎのようなものがあります。
  • シャワーチェア:シャワーチェアは安全な姿勢で体を洗える入浴補助具です。浴槽の縁に寄せて置き、移乗台としても使用できるという意見もありますが、一般的には浴槽の縁の方が高いです。立ち座りしやすいシャワーチェアの高さは身長140~150cmぐらいの場合は座面高38~40cm程度で、以降身長150~160cmは40~42cm、身長160~170cmでは42~44cmが目安です。さらに移乗台として使うには、アームサポートがスイングするタイプが必要になります。管理人の経験の一つとして、プラスチックを押出成形整形した、アームサポートが動かない・高さ調整もできないシャワーチェアを提供されたこともあります。移乗台としても使用するのであれば、事前に浴槽の縁の高さ・シャワーチェアのアームサポートの跳ね上げ・高さ調整機能について確認してから予約をしましょう!
    基本的には洗い場で使用する、浴室内移動・浴槽の出入りにも使用できない。
    洗い場のシャワーチェア、右手に手摺もある
    色々な入浴補助具があるバスルーム、2段の段差は色々な使い方が!
    浴槽内シャワー時に使うシャワーチェア
  • バスボード:バスボードは浴槽の両縁にかけて取り付け浴槽の上でいったん腰掛けて浴槽に入れるバリアフリーの宿の入浴補助具です。両縁支持タイプは湯船に入ってから、バスボードを取り外さないと十分な入浴スペースが取れない欠点があります。外付けタイプはそのままでも、十分な入浴スペースが取れます。基本的には浴槽の出入りに使用する、浴室内移動・洗い場では使用できない。
    福祉機器メーカーのバスボード使用例
    両縁支持タイプと外付けタイプが用意されている例
    手作りのバスボードの例
  • 腰掛けスペース:浴槽本体と一体化された腰掛けスペースはバリアフリーの宿の入浴補助具の中で、手すりと組み合わせて一番安定している設備と言えます。基本的には浴槽の出入りに使用する、浴室内移動・洗い場では使用できない。
    福祉機器メーカーのバスボード使用例
    両縁支持タイプと外付けタイプが用意されている例
    手作りのバスボードの例
  • 移乗台:移乗台は手作りのバスボードの様なもので、浴槽の外側に固定された入浴補助具であり、浴槽の入浴エリアを狭めない。基本的には浴槽の出入りに使用する、浴室内移動・洗い場では使用できない。
  • シャワーキャリー(入浴用車椅子):脱衣場から洗い場への移動し、入浴用車いすから浴槽へ移乗したり、そのままシャワー浴を行うために使用できます。基本的には浴室内移動・洗い場に使用する、浴槽の出入りには使用できない。
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