ぶらり車いすバリアフリー旅行

バリアフリーの宿のエレベーター・快適宿泊

バリアフリーの宿を選ぶ時に、上下移動に必要なエレベーターの確認は必須です。バリアフリーを謳っている宿で車椅子がかごに納まらないエレベータに遭遇した経験を踏まえて解説し、確認の重要性を訴えます。当該ホテルや旅行サイトのホームページにも、「車椅子対応エレベータ:あり」と謳われています。利用者自身で確認しましょう。

バリアフリーの宿のエレベーター

宿泊施設内で必ず行かなければならない場所は、エントランス・フロント・客室・入浴施設・食事処・ショップなどです。それらの間に段差がある場合、小さな段差の解消はスロープ、大きな段差の解消はエレベーターとなります。「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)が、平成18年(2006年)12月20日に施行されました。「ホテル又は旅館における高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(追補版)(平成30年度)」もあります。建築物移動等円滑化経路を構成するエレベーターの設計基準(かご・乗場寸法・その他仕様)によると、建築物移動等円滑化基準・特別特定建築物・エレベーターは、間口:140cm以上、135:135cm以上、出入り口の幅:80cm以上、車いすの転回に支障がない構造と定められています。機種は乗用11人乗り以上寝台用1000kg(住宅用は適用不可)が適用されます。 下図は9人乗りのエレベーターです。かご寸法が間口1400mmx奥行き1100mm・扉幅800mmですので、車椅子でも乗ることができます。 また、車いす用標準仕様として、専用乗場ボタン:床上1000mm程度の位置に設ける、かご室:専用操作盤・鏡・手すりを設ける、サービス機能:マルチビームドアセンサ・戸閉速度制御・戸開放時間制御・自動着床修正制御などが求められています。

しかしこんな考えもしない例外も

管理人は長い間バリアフリーの宿について、調査・紹介をする中で、バリアフリーを謳っている宿で車椅子がかごに納まらないエレベータがあるとは思っていませんでした。それがあったのです。もちろん初めての体験でした。1964年に高明な建築家の設計で建築された宿泊施設でした。その宿はバリアフリールームもあり、バリアフリーの貸切風呂も完備しています。一方、その県には、ここを除いてバリアフリーの宿を探せませんでした。
動線的には、1階に客室、地下に浴場、2階に食事処があり、各階の中央付近にエレベーターが1基だけあります。入浴したり、食事をするためにはこのエレベーター以外の動線は無いのです。以下にその顛末を記述します。 エレベーターの寸法をその場で測定していませんが、一番小型の6人乗り・かご寸法が間口1400mmx奥行き850mm・扉幅800mmで間違い無いでしょう。管理人の車椅子は日進医療機器のNA-U2W(長さ97cmx幅56cm)でコンパクトタイプです。スタンダード車椅子では、さらに大きく長さ104cmx幅64cmくらいのものが多いです。
下図は、「かご寸法が奥行き85cm、車椅子の長さが長さ97cmですから、ステップからはみ出ている長さを加えたら、15cmくらいかごから飛び出している」状態を示しています。 つぎはどのような方法でこのエレベーターに乗れるかです。その方法は唯一、車椅子を左に90度回転させて、車椅子の向きを140cmある間口に合わせることです。その前に介助者が乗ってしまうと、車椅子を切り返すスペースが無くなってしまうので、車椅子に乗っている障害者が一人でやるしかないのです。さらに左手でエレベーターの「開ボタン」を押しながら、右手だけで数回切り返しを行わなければなりません。 管理人が5回切り返したら、下図のようになりました。その後、介助者は左手の下を潜って、エレベーターに乗り込み出発しました。残念なのは、このことをフロントに電話で伝えても、現場に来ることなく、「このエレベーターしか無い」と言って電話を切られたことです。
ここで注意事項です。管理人は両下肢重度障害者ですが、上肢は健全で、自走式車椅子に20年以上乗って、走り回っています。そんな背景があるので、今回のような車椅子操作は簡単にできます。しかし、上肢に障害がある方や車椅子の回転に介助が必要な方は、この宿のご利用は控えるのが懸命と思います。このことは個別のバリアフリーの宿の紹介ページに記載してあります。

エレベーターに関するその他の口コミ

設備&アメニティ・快適宿泊の一つのエレベーターに関するクチコミは、並んで待たないとエレベーターに乗れない、面倒な乗換があるなどのコメントが多い。
・以前にも宿泊したことがあり感じたのですが、エレベータ2基、来るのが遅すぎる。「出発や移動の多い時間帯にはエレベータ前でお待たせしてしまい申し訳ございません」との回答も併記されています。
・4つベッドがあり家族で宿泊するにはよかったです。ただしエレベーターがフロア1箇所しかなく少し不便でした。
・駐車場からエレベータで下がって、フロントまで上がって、客室に下がって、部屋までの移動が大変ですね。利用者の目線で作られた施設ではないような気がします。問合せにはフロントの方は丁寧な対応でした。
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